みなさん、ダチョウを食べたことはありますか。食事も刺激や発見があるエクスペリエンス(体験)と考えるソウ・エクスペリエンスは、リニューアルした「レストランカタログRed」に、ダチョウ肉のフルコースを提供してくれる2店(銀座の「朔月」と西新橋の「Bois Vert」)を掲載していましす。ダチョウが「未来の食材」といわれているからです。その食材を生産する牧場に取材をしました。とても魅力的な女性牧場長がいらっしゃるのです。(文/関口昌弘=ソウ・エクスペリエンス)

素敵なレストランでの食事を贈れる「レストランカタログRed」。そこにはダチョウ肉のフルコースを提供する店を掲載しています。

その理由は2つ。1つ目はダチョウ肉が、未来の食材として注目されていることです。高たんぱく、低脂肪で健康的だということに加え、病気に強く、生産するのに必要な飼料が比較的少ないといいます。いいこと盛りだくさんなわけです。

100年後、私たちは現在と同じような食事をしていないかもしれません。健康に対する意識や、食物の生産環境の変化で、今とは全く異なる物を食べているかも。ユーグレナが活用を目指すミドリムシが主役になっているかもしれません。一部の国や地域ではたんぱく源として貴重な食料になっているという、昆虫が食卓に並ぶのが普通になっていてもおかしくありません。そして、ダチョウです。話が大きくなってしまいましたが、ダチョウは未来を先取りする食材です。なんだかわくわくしませんか。ソウ・エクスペリエンスは、これをぜひ体験してほしいと思っています。

ただ、こうした機能的なメリットは抜きにして、何より魅力的なのがその味。これが2つ目の理由です。生産者がこだわって育てたダチョウの肉は、とにかくおいしい! ある人は、「牛肉よりも、豚肉よりも、鶏肉よりも好きになってしまった」というほどです。

「食肉専門のダチョウは、20世紀なかごろ~後半から南アフリカ中心に生産されていたようですが、1993年の南アフリカ共和国からの産業用の成体やノウハウの輸出解禁により、日本でも徐々に広まってきました。そして、生産に力を入れる業者が登場してきたのです」と話すのは、ダチョウ肉の卸などを手がけるQueen’s Ostrichの加藤貴之さん。食べるための肉を本気で作る農家の登場で、おいしい肉が生まれてきたということです。

今回取材をコーディネートしてくれた加藤さん

そして今回、未来の食を体験できるダチョウ肉を生産する、畜産農家に取材をすることができました。快く取材に応じてくれたのが、埼玉県美里町にある「美里オーストリッチファーム」の星野みつ子さん。ダチョウを育てて10年の、元気でダチョウ愛にあふれた女性です。

おいしいダチョウがどんなふうに育てられているか、聞いてきました。

10カ月くらいの若鳥がおいしい

かわいい看板あり

――おはようございます。今日はよろしくお願いします。

星野さん(以下敬称略) はい!おはようございます。こんなところまでわざわざありがとうね! ごちゃごちゃしたオフィスだけど、まあどうぞ。

朝からとっても元気な星野さん

――ごちゃごちゃだなんて、とんでもないです。ご協力いただきありがとうございます。まず前提として、ソウ・エクスペリエンスの「レストランカタログRed」という商品のリニューアルにあたり、食のエクスペリエンスとして未来の食材であるダチョウを食べられるレストランを掲載しました。そこで、その食材がどのように生産されているのかを取材し、商品を購入する方にその魅力を伝えたいなというのが趣旨です。

星野 はいはい。そうね。どうぞどうぞ。

――ありがとうございます。既に星野さんが生産したダチョウ肉をいただいたことがあるのですが、これがもうびっくりするほどおいしかったです。

星野 ありがとうね。おいしいでしょう。なんたって愛情込めてますから。若い鳥がおいしくてね、大体10カ月くらいで出荷するんですよ。まあ、とりあえず見てみますか。

(少し移動)

見えてきました

――いますねいますね! やっぱりでかい! こんなに近くで見るのは初めてかもしれません。

星野 大人になると120kgを超えますからね。でかいですよ。時速70kmで走るのよ。だから放牧すると手におえないので、パドックに入れるようにしているんです。ここにいるのはつがいで、卵を産ませるダチョウですね。

でかいのでちょっと怖い

ダチョウの男は一途らしい

――生産に向けているのは何羽くらいいるんですか。

星野 大体20羽ですね。卵をよく産むのは4〜5歳の鳥です。

――ダチョウはたくさん卵を産むと聞いたのですが。

星野 そうですね。ちゃんと交尾をすれば、1年に40個くらいは産みますよ。

――おお、すごい。

星野 ところでダチョウの男はね、一途なのよ。だらしない人間の男よりよっぽどいいわ。あっははは。

――そ、そうですね!

星野 ふらふらしている男が多いからね、人間は。あははは。

――そ、そうかもしれません!

星野 まあ、かわいい子たちなのよ。それじゃあ次は、出荷をするダチョウのほうに行きましょうかね。

(移動)

かわいいのがいっぱい

ダチョウは野菜好きで、なかなかぜいたく

――こっちはめちゃくちゃたくさんいますね! でも少し小さいかも。

星野 最初にも言いましたけど、お肉としておいしいのは若鳥なんです。生後10カ月で屠畜をしています。いまここにいるのが、ちょうどそのくらいの子たちですね。

――やはり面と向かうとかわいそうに感じてしまいます。目が大きくて、まつ毛が長くて、かわいい顔をしているんですよね……。

星野 そうね。でもきちんとおいしくいただくのが、私たちの役目かなと思っています。おいしく食べてもらえるように、丁寧に育てていますよ。

――餌にはこだわっていると聞きました。

星野 やがて人間の口に入るということですから、飼料は妥協できません。何種類かあって、多いのは小麦くずで、他の農家さんから仕入れています。他に、春から秋にはここで育てた桑を与えたり、小松菜やキャベツも食べさせます。アルファルファなんかも。鳥なので、野菜が好きなのね。ほかに、大豆フレークや乾燥おから、カキの殻なんかも与えます。当初は試行錯誤が大変でしたが、最近はなかなか納得の配分なのではないかと思っています。

なんだかおいしそうです

――けっこうぜいたくですよね。

星野 採算だけ考えると、もっと安い飼料でもいいんですけど、先ほども言ったように、最終的に人間の口に入るものですから、きちんと選びたいんです。小松菜なんかは、無農薬栽培のものにこだわっています。

――頭が下がります。

星野 ちょっと餌あげてみましょうか。キャベツ持ってきますよ。

――え、今ですか?

星野 うん、そうそう。ちょっと待っててね。

(しばらくして)

キャベツがもりもり

カメラ水島、柵の中で撮影

星野 さあ、どうぞどうぞ。

――え、入るんですか?

星野 そうよ。大丈夫よ。

――じゃ、じゃあ写真は抑えたいので、カメラの水島さん!

カメラ水島 え、ほんとに?

――ほんとほんと。

星野 そうそう、いらっしゃい。

カメラ水島 え、え、わああああ。

びびるカメラ水島

――がんばって撮って!

カメラ水島 あ、でも大丈夫ですね、これ。かわいいー。(カシャカシャ)

――がんばって!

楽しくなるカメラ水島

(しばらくダチョウカットをお楽しみください)

かわいいから、おいしく食べて

(撮影終了)

――いやー、水島さんがんばったね。おつかれ。ところで星野さん、なぜこんなにダチョウにのめり込んだんですか?

星野 なかなか紆余曲折あるのよ。あはは。以前は親の会社を手伝っていたんですけれど、その会社と取り引きのある会社がダチョウを飼っていて、臨時で世話を任されたときがあって。一時的に任されたんだけれど、もうかわいくてね。「私に育てさせてくれ」と言って頼んで、そこから育て方や餌を研究して、パドックも広げていってと。

――すごい出会いですね。かわいかったですか。

星野 いやー、もうかわいい。ほら見てみて。顔はちっちゃくて目はぱっちり。かわいいでしょう。

――はい、かわいいです。あんまり見ていると食べられなくなっちゃうかもしれませんが……。

星野 繰り返しになっちゃいますが、だからこそおいしく食べてほしいんですよね。私が一番好きなのはタタキ。ヒレもモモもおいしいですね。ネックは煮込んだりするといいです。部位によって、おいしさはいろいろですね。

熱い想いを語る星野さん

――そこのところは、料理人の方々も大いに腕を振るっているようです。

星野 そうね。ありがたいですね。まあ、いい商品にして、ダチョウ肉が好きな方を増やしてくださいよ。こちらはおいしいお肉をつくりますので。

――はい、ありがとうございます。すてきな体験を広められるように、がんばります!

紹介した施設

美里オーストリッチファーム
住所:埼玉県児玉郡美里町大字白石1336
WEB:http://dachouclub.web.fc2.com/
問い合わせ先:03-3582-5143(Queen’s Ostrich) http://www.queens-ostrich.jp/

AUTHOR

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関口昌弘(ソウ・エクスペリエンス 商品開発担当)
出版社の雑誌やWEBサイトの編集部を経て、2012年10月にソウ・エクスペリエンスに入社。毎年行っていたフジロックに今年は行けず、朝霧JAMは絶対に行こうと心に誓う